アシェット「江戸川乱歩と名作ミステリーの世界」は、江戸川乱歩の作品をはじめ、夢野久作やエドガー・アラン・ポー、コナン・ドイルといったミステリー史に残る傑作を絢爛豪華なハードカバーで楽しむことができるシリーズです。
その美しい装丁にはノスタルジックな輝きがあり、幻想とロマンに満ちた魅惑のミステリーワールドが広がっています。
さっそく、各巻のあらすじを紹介していきましょう!
江戸川乱歩と名作ミステリーの世界
創刊号:『屋根裏の散歩者』江戸川乱歩
世の中のすべてに興味を失った郷田三郎は、下宿先の屋根裏を歩きまわり、他人の醜態をのぞき見ることに楽しみを見出すようになる。そんなある日、彼は完全犯罪を思い付くが……。
第2号:『D坂の殺人事件』江戸川乱歩
『D坂の殺人事件』は、1925年に発表された江戸川乱歩の短編探偵小説。乱歩が創作した代表的人物である名探偵明智小五郎の初登場作。密室殺人事件を“私”と素人探偵“明智小五郎”が追及していくという本格もの。
第3号:『少女地獄』夢野久作
『少女地獄』は、探偵小説作家夢野久作の書翰体系式の短編小説集。
第4号:『人間椅子』江戸川乱歩
美女作家の佳子は、仕事の前に手紙を読むのが日課だった。ある日、奇妙な手紙が届き、中身は椅子の中に住む男の告白だった。
第5号:『パノラマ島奇譚』江戸川乱歩
貧しい小説家の人見広介が、自分とそっくりな顔を持つ大金持ちの菰田源三郎に成り済まして、孤島に巨大なパノラマを作り始めるという物語です。
クライマックスで打ち上がる一発の花火が人見の人生を象徴しているようです
第6号・第7号・第8号:『ドグラ・マグラ』夢野久作
『ドグラ・マグラ』は、長崎地方の方言で「戸惑う、面食らう」という意味の切支丹バテレンの呪術を指す言葉に由来しています。
話は記憶を失った青年が呉一郎という青年の事件に関わっていくというものです。結局記憶を失った青年は誰なのか。
第9号:『黒蜥蜴』江戸川乱歩
宝石商の岩瀬の娘・早苗を誘拐すると予告した黒蜥蜴。彼らは予告通り早苗を誘拐し、困惑した岩瀬家に混乱と恐怖をもたらします。
一度は早苗を取り戻した岩瀬家でしたが、再び早苗は実家から誘拐されてしまいます。この壮大な謎めいた誘拐事件に挑むのは、名探偵明智小五郎です。彼は奇抜なアイデアと洞察力を駆使し、事件の真相に迫っていきます。
江戸川乱歩の長編探偵小説『黒蜥蜴』は、その鮮やかな筆致と緻密なプロットで読者を魅了しました。この作品は1962年と1968年に実写映画化され、名探偵明智小五郎が奇抜なアイデアを駆使して事件の解決に導く姿がスクリーン上で再現されました。
黒蜥蜴によって脅かされる早苗と岩瀬家の運命、そして明智小五郎の知恵と勇気。その緊迫感あふれる物語は、映画化作品としても多くの人々を魅了しました。
第10号『怪人二十面相』江戸川乱歩
十年以上を経て突然帰郷した羽柴家の長男、壮一。折しも羽柴家には、ちまたで噂の盗賊「怪人二十面相」からの予告状が届いていた。変幻自在の愉快犯・怪人二十面相と名探偵明智小五郎、記念すべき初対決の幕が開く!
第11号『モルグ街の殺人事件』エドガー・アラン・ポー
19世紀アメリカの小説家・詩人であるエドガー・アラン・ポーの短編小説(佐々木直次郎による訳)。ポー自身が編集主筆を務めていた「グレアムズ・マガジン」1841年号に掲載された。パリのモルグ街で、人間離れした怪力で母娘が殺される事件が起きる。しかも現場は密室だった。謎の事件の解明に、オーギュスト・デュパンが乗り出す。史上初の推理小説とされている。
第12号・13号『不連続殺人事件』坂口安吾
詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まった様々な男女。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、血が血を呼んで、恐るべき八つの殺人が生まれた――。第二回探偵作家クラブ賞受賞作。
14号15号『黒死館黒死館殺人事件』小栗 虫太郎
小栗 虫太郎:「完全犯罪」で推理作家としてデビュー。主な作品に『白蟻』『黒死館殺人事件』『二十世紀鉄仮面』『紅殻駱駝の秘密』『人外魔境』などがある。

黒死館と呼ばれる降矢木家の城館は、過去に変死事件が続いた不吉な館として知られていた。数か月前、当主の算哲までもが不可解な自殺を遂げ、その後も屋敷の住人が次々と襲われてゆく。博覧強記の探偵、法水麟太郎は、神学、呪術、占星術、数学、化学、文学などあらゆる知識を縦横に駆使して事件を解決に導いてゆく。
16号『魔術』芥川龍之介

大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の童話。初出は「赤い鳥」[鈴木三重吉主宰、1920(大正9)年]。短編集「影燈籠」[春陽堂、1920(大正9)年]に収録。ある晩「私」が人力車で大森の外れに住むインド人「マティラム・ミスラ」を訪ねる。「マティラム・ミスラ」は婆羅門の秘法を学ぶ魔術の大家だった。昔話の話形、〈魔法昔話〉に諷刺をいれた物語。
17号『陰獣』江戸川乱歩

暗闇の中で、息を殺して、石のようにだまり返ってジッとうかがっている陰獣の目。私は、お前の影になり切っている。たえまなく、お前を凝視しているのだ。幸せをつかんだ女のもとに、捨てた男の執念の脅迫状。その直後、隅田川に浮かんでいた夫の腐乱死体。熟れた女の白い肌にきざまれたミミズ脹れの鞭あとの謎は…。驚くべき巧妙なトリックと強烈なサスペンス。複雑な犯罪の謎を解きくずす江戸川乱歩の最高傑作!

